ソードワールドRPGリプレイ「黒き竜の封印」

【シーン5:牙の団】

深夜の本拠地。
あちこちにかがり火が焚かれている。
武装した男たちは一様に殺気立ち、いらだっている様子だ。
次々伝令が到着し、1秒とおかずに大幹部の怒声が飛ぶ。
「逃げた連中が見つからない!?女子供に、ナニ手間取ってるンだよ!」
「口が堅いなら、腕の一本二本切ってやれ。小鳥みたいにしゃべり出す」
「採掘場の連中が動かない? ……半分殺せ。その分は街から補充しろ」


ファングは、大幹部のひとりの報告を険しい顔で聞いていた。

「セレンて娘は見つかりません。例の冒険者も」
「へへ、たいしたコトのない連中でしょう?ほっとけば……」

(グシャッ)

言い終わる前に赤い斧が脳天を砕いた。
あふれる血を吸って、斧刃は禍々しい輝きを増す。
「言い訳は許さねぇ……。ん?」

一瞬、ファングは沈黙する。
懐から古びた護符を取り出し、耳に当てた。

「ふん……。わかった。冒険者はラーダの神殿にいる。セレンもそこだ」

部下に指示を出す。
「一日泳がせておけ。それから一網打尽だ」
「大事な兄弟(虎)を殺した代償だ。丹念に丹念に、食いちぎってやる」

凶悪な笑みが洩れた。