■ 聖痕大戦外伝 《ただ、名誉のためではなく》

"ARMAGEDDON" Another Stories "Honor"

「我が名誉は、救世母への忠誠なり」
――信仰審問官就任の宣誓の言葉
 
「畜生、わたしは見捨てない。誰も見捨てないぞ!!」
――修練者の叫び
 
「あなたの手、あったかいね……」
――最後の言葉

◇ 用語解説

〈テルスベルゲンの悲劇〉(→〈テルスベルゲン防衛戦〉)
 西方暦一〇五二年、バルヴィエステ王国ヴァークーゼン大管区西方の一都市、テルスベルゲンが一夜にして壊滅した事件の俗称。
 当時、テルスベルゲンには衆民・軍人・旅行滞在者を含め一三〇〇〇名が居住していたが、一日で一二六五三名が死亡。生存者は重傷者を含め三〇〇名にも満たなかった。
 バルヴィエステ王国における最も新しい《侵略者》による組織的襲撃であったことが後の調査で判明している。
  ――聖典庁聖典局史料部内部資料〈対《侵略者》防衛研究〉注釈より抜粋

 
《侵略者》
 正体不明の異形生命体。
 バルヴィエステ王国建国当初からの敵対存在で、唐突に出現し、嵐のように暴れ、悪夢のように去っていくことから名付けられた。
 現在ではその体形から小型・中型・大型の三系統に分類されている。体格が大型になっていくほどにその出現頻度は減少しており、最後に大型個体が確認されたのは《テルスベルゲン防衛戦》に出現した大型個体〈ナスホルン〉二体。
 強靱な生命力と旺盛な殺戮衝動を持っていることが共通した特徴。集団戦を実行できるだけの知性があることは判明しているが、意志疎通にまでは至っていない。一説では異質な知性体系を構築しているのではないかとも言われている。
 第三代教皇の布告以来、第一級背教存在――聖敵として認定されており、殲滅命令が下されている。
 現在も、聖典庁預言局を筆頭として全容解明のために調査・研究が継続されている。
  ――聖兵学院戦史学用教科書の一文